こんばんは。台風一過、暑い日が続くようですが、皆さんはどうお過ごしですか?お天気が悪い時は外で運動する事は出来ませんが、屋内なら運動はできます。最近は中高年層を中心に、積極的に体を動かす方が増えています。全国的な傾向のようで、都市部のジムなどは平日は高齢者で一杯!という所もあるようです。子育ても終え、仕事も無事リタイアし、悠々自適の生活、という事しょうか。
僕のクリニックでも、「週3回はジムに行ってる!」60~70代男性、「一度に2,3kmは泳ぐ!(僕なら溺れてます)」70代後半のご夫婦、「カーブスに毎日のように行ってます。」という50~70代の方など多くの人が、日常的に運動されています。僕も40歳くらいからテニスを習いに行ったり子供達と週末にやっていましたが、50歳の頃から筋トレを始めました。実は負けず嫌いでこだわる性格で、かつ若い時に真面目に運動しなかったために、筋肉がないのが(今でも)コンプレックスですから、却って結構ハードに(ムキになって?)やってます。今は1回あたり45~90分くらい、腕、肩、脚、胸と背筋、腹筋の5分割でそれぞれ最低週1回は行います(腹筋は他の部位とセットでやります)。初めは理論が伴いませんでしたが、トレーニングの理論、解剖、プログラム等を真面目に勉強し、今やトレーニング理論は万全です。また少しづつ用具も揃え、週4回は筋トレしてます。しかし、やれば右上がりに筋肉がつく!とはいかないのが中高年の筋トレ。おまけにあちこち故障が!!筋肉は鍛えられても、腱や関節などはそうはゆきません。トレーニングのテキストなどには、中高年は故障や怪我に注意するよう記載はあるのですが、どのくらいやると安全で、どのくらいだと障害が出るか、なんて事は、最後はやってみないと判りません。
基本は押さえつつも、結局は負荷の頻度、強度などは人それぞれ細かい調節が必要で、しかも初めから計画的にはいかないものだという事です。例えば若い頃に格闘技やラグビーなどのコンタクトスポーツ、重量挙げなどをやっていた人と文系サークルで過ごしていたような人とは、体のつくりが若い時から違っています。仮にブランクが有ったとしても、若い時に鍛えた人はよりヘビーな負荷をかけても大丈夫なはずです(スポーツ障害があり、後遺症が残っていれば別でしょうが)。一方、さほど強い負荷をかける習慣が無かった人は、中高年になって急に頑張っても、その限界が低かったり、関節や靭帯などが負荷に耐えられなかったりする事は十分考えられます。僕は後者のようで、中高と体育会の部活をやってなかったツケがモロに来てます!やはり成長期に体に負荷をかける事は大事なようで、患者さんとして来院する青少年たちを見ても、運動してる子たちはどんどん体が出来てきます。「いやーデカくなったね(筋トレしている人に対しては、すごい褒め言葉です)!」「いい腕してるね。何(運動)してるの?」診察中にも、つい声をかけてしまいます。これは決して僕の個人的な思い込みではなく、運動、筋の研究と実践で日本一の研究者である東大の石井直方教授も、若い時期にトレーニングをすることが、体を作る上では重要で、実際どんどん伸びるものである、ということを言っておられます。お若い時はボディビルの世界大会で入賞されるような方の発言ですので重みが違います。
 さて、先日左肘に水が溜まったようなので近くのOクリニック(元同級生で、優秀な整形外科医です)を受診し、ついでに痛い右肩を見てもらったところ、どうも修復困難な状態のようでした。
1;肩関節の軟骨が欠けたり剥がれたりしている。老人の変形性膝関節症と同じ状態。
2;腱板の一部断裂と、肩の筋肉の一部が骨の付着部から切れて剥がれている。
3;関節の炎症で水も所々に溜まっている。
というエコーでの所見らしく、どうすれば良いのか尋ねたところ、O医師は苦笑いをしながら「インナーマッスル鍛えるしかないんじゃないですか?」との事。本当は「いやーどうしようもないよこれ!」と言いたかったのですが、それを言っちゃあおしまいよ!という事でインナーマッスルの話をしたようです。
あとで調べた所、重症の場合は人口肩関節置換術というのもあるそうですが、運動できるかどうか判りませんし、やっぱり避けたいですよね!
彼はトレーニングにも造詣が深いので、肩の悪化を多少は防ぐためのトレーニングやベンチプレスのやり方を教えていただき帰宅しました。原因としては、筋トレ中なんども無理をかけ、そのたび痛くなったり動かなくなっていたのを 我慢して続けていた事。一時テニスのサーブにハマって、練習のたびに3,40分サーブばかり打ったりしていた事(野球の投げ過ぎと一緒でしょうか)などが原因と思われます。そのため右肩の動きが悪くなり、却ってサーブも遅くなりました!運動時は大丈夫ですが、終わってしばらくすると、夜に肩が痛くなったりします。これでは何のために筋トレしたのか判りませんね!
 楽な運動では筋力、体力の維持すらままなりません。しかし限界を伸ばす、体力をつける!と言っても、若い人とは違い、充分考えながらやらなければならないのが僕たち中高年の運動ですし、また、考えても結果的に上手くいかなかったり、失敗したりすることもあるものです。
あちこち壊さないように、楽しく、慎重に運動なさってください。やり過ぎて失敗した者からのアドバイスです。ではまた。