今晩は。連休の中日の夜、家族で食事(市内のホテルでブッフェを食べに。僕は非常に大食いなので、たくさん食べたいものですから。)に出かけると、二組の知り合いのご家族にお会いしました。世間は狭いものです。皆さんはこの連休、どうお過ごしですか?
 今日も僕の大好きな感染症のお話で、特に小さい子供がいる方には関連の深い内容です。それは時に乳幼児の気管支炎、肺炎の原因となるウイルスの一種で、しかも知名度の高いRSウイルス。及び最近簡易検査キットが発売されたために、急に認知度が上がってきたヒトニューモメタロウイルス(hPMV)というウイルスについてです。
 RSウイルスはご承知の方も多いでしょう。乳幼児に感染し、時に細気管支炎や肺炎を引き起こし、初感染の1~3%が重症化し、入院治療を要するとされています(岡部編 小児感染症学 第2版)。潜伏期は2~8日(平均5日)、飛沫、または手などを介する直接接触で感染、通年性だが11~4月の寒冷期に多い。1歳までに60~70%、2歳までに100%の人間が感染します。ただし、ヒトは完全な防御免疫を持つわけではないので、生涯のうちに何回もかかりますが、繰り返すうちに軽症化してきます。つまり、多くの場合は「風邪」で終わる、ありふれた呼吸器感染症です。治療薬は無く(開発もされていないようです)、自然治癒に任せます。抗生剤は効きませんので不要です。予防薬は有りますが、早産、先天性心疾患などの乳児に限って保険(及び丸福)が効くものです。重要で、医師としては知ってて当然というものです。
ヒトニューモメタロウイルスは2001年オランダで、呼吸器感染を起こすウイルスの一種として発見された新しいもので、このウイルスも小児期に感染し、1~2歳で約50%、5歳までに約80%、10歳には100%のヒトが一度は感染したことがあります。初感染の平均年齢は2歳6ヶ月と言います。流行時期は、日本では3~6月に集中するとの事です。潜伏期は4~6日、多くは1週間前後で症状は良くなりますが、ウイルスは1~2週間排泄されるので、元気になった子供でも感染源になりますが、これはRSウイルスでも同様です。これも特異的に有効な薬は無く、症状を改善する、いわゆる対症療法となります。症状としては発熱、咳、鼻水、喘鳴などが多く、発熱期間は平均5日と意外に長いが、1週間以内に解熱します。
ここで問題です。子供のうちに必ず感染し、自然治癒する、しかも有効な薬は無い(インフルエンザのように治療することは出来ない)、そういう病気について、あえて検査する必要はあるでしょうか?多くの場合、検査をする必要はないのです。現に、RSウイルスの検査は入院が前提です。外来患者では保険もまる福も効きません。保育園で「検査してください!」と言われたところで、検査をする必要も義理も何もありません!!どうしてもと言われるなら「自費になりますよ」というものなのです。では、「病院で調べてもらったらRSではありませんでした!」と言う保護者の方がいます。もしそれが事実なら、この2つのことしか考えられません。
1:その医師が世のため人のために自腹を切って検査してくれました!というのはいい話ですが、あり得ません。検査一回、一人2000円はかかりますから、100人で20万円!残念ですが、そんな奴はいません。
2:実際はRS検査して、しかしカルテ上ではコストのほぼ同じで、かつ外来診療で保険が効く検査をしたことにしておく。これがほとんどです。インフルやアデノ、溶連菌を調べるのは全く問題ありませんから「〇〇疑い」という病名にして実際使う検査キットはRS用にすれば、患者さんには余計な負担はかかりませんが、不正請求です。
 おまけに、この検査は必要不可欠では無いし、これらの感染症は自然治癒する病気ですから、多くの場合では不要なのです。抗生剤を使わないという根拠になると言う医師もいますが、そもそも「風邪」に抗生剤を使う医者は感染症のイロハも知らない「バカヤロー、このヤブ医者!」ですから、どっちにしてもいりません。また、子供のうちに必ずかかる病気に、検査をする必要ありますか?人のためにやっているように見えても、客観的には医療費の無駄遣いになっているのです。医学的にはともかく、親としてより詳しいことが知りたい、安心したい、という声があるのは事実でしょう。それなら、その保護者から実費で徴収すべきなのです。それが社会的に認められている範囲の医療なのです。
ただ、本来こんなこと(保険が効くとか効かないとか)まで医療者が説明する義務はあるのでしょうか?厚生省がホームページなどで、保険診療でできる範囲を全国民に提示すれば済むだけの話ですが、厚生省の役人や、政治家はみんな悪者になりたく無いので、一切自分たちからは説明せず、説明を全て現場の医療者に押し付け、そのくせ必要な医療行為を適当に、しかも一方的にコストカット してくるのですからたまりません。本当に、バカな官僚や政治家連中のせいで困っていますし、国民みんなも損をしています。
あ、つい力が入りすぎましたか?少々話が飛びましたので、今日はこの辺で。そうそう、最後になりましたが、クリニックで飼ってるカブトムシ、とても長生きしてます。今年7月初旬に羽化した個体ですが、まだ元気です。例年ですと8月下旬には皆寿命が尽きていましたが、今年はほぼ全員(!?)動きは遅くなったものの、みんな生きてます。エアコンの真下がよかったのか(実は飼育時にはカブトムシはある程度涼しい方が良いそうです)屋外やエアコンの無いところで飼育すると、8月いっぱいは持ちませんでしたね。毎年そうでした。文字通り、「箱入り娘(息子もいますが?)で居させたのが良かったのでしょうね。では今日はこの辺で。おやすみなさい。